【文例あり】原材料費スライド制の導入提案メール|OEM・製造業の利益を守る交渉術

交渉・要請

「原材料費が上がるたび、取引先に頭を下げて値上げをお願いするのが辛い」「市場価格が下がった際にも誠実に対応できる仕組みを作りたい」と感じていませんか。

近年の原材料費やエネルギーコストの激しい変動は、OEMや製造業の経営に大きな影響を与えています。その都度交渉を行うのは、自社にとっても取引先にとっても多大な労力がかかるものです。そこで有効なのが、市場価格の変動に合わせて自動的に取引価格を調整する「原材料費スライド制(フォーミュラ制)」の導入です。

この記事では、取引先との信頼関係を維持しながら、スライド制の導入をスムーズに提案するためのメールの書き方を解説します。

スライド制導入提案の基本マナーと伝えるべき3つのメリット

スライド制を「値上げの手段」と捉えられると、反発を招きやすくなります。あくまで「健全なお取引を継続するための合理的な仕組み」であることを伝えるのがポイントです。

「値上げ」ではなく「価格の適正化・自動化」と定義する 提案の際は、一方的な利益確保ではなく、市場の変動を反映させる「公平なルール作り」であることを強調しましょう。市場価格が下がった場合には、同様に価格を下げる仕組みであることも明文化することで、取引先の納得感は格段に高まります。

算定根拠となる「公的指数」を明示して透明性を高める 価格変動の指標には、日本経済新聞の相場表や、LME(ロンドン金属取引所)価格、業界団体の公表値など、第三者が見ても明らかな公的指標を採用しましょう。独自の計算式ではなく、客観的なデータに基づいた「透明性」が、スムーズな合意の鍵となります。

発注側にもある「交渉コストの削減」というメリットを強調する スライド制の導入は、発注側にとっても「都度の見積依頼や社内稟議の負担が減る」「原価の見通しが立てやすくなる」というメリットがあります。これらの利点を丁寧に説明し、双方にとって効率的な取引形態であることを伝えましょう。

【コピーして使える】スライド制導入の提案メール文例集

取引の状況や、導入したいタイミングに合わせて最適な文面を活用してください。

パターン①:新規契約時、または契約更新時に仕組みを提案する場合

契約の節目に、中長期的な安定取引を目的としてスライド制を盛り込む文面です。

件名: 【ご提案】〇〇製品のお取引価格に関するスライド制導入のご相談

〇〇株式会社
〇〇様

いつもお世話になっております。
〇〇商事株式会社の丸山です。

この度は、次期契約更新に向けた条件確認の機会をいただき、誠にありがとうございます。

本日は、今後の継続的かつ安定的な製品供給を目的に、原材料価格の変動に伴う「取引価格スライド制」の導入についてご提案をさせていただきたくご連絡いたしました。

昨今の原材料相場の変動に対し、都度の価格改定による貴社へのご負担を軽減し、より透明性の高い価格運用を実現したいと考えております。

■ご提案の概要
・〇〇(原材料名)の公定相場に基づき、四半期ごとに価格を見直し
・一定の変動幅を超えた場合にのみ、自動的に単価を調整
・相場下落時には速やかに値下げを実施

本件の導入により、貴社におかれましても原価予測の精度向上が期待できるものと存じます。 詳細な算出方法案を添付いたしますので、ご一読いただけますでしょうか。

お忙しいところ恐縮ですが、ご検討のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

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署名
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パターン②:特定の原材料(金属・樹脂等)の急騰を受けて導入を打診する場合

特定の素材の変動が激しい時期に、危機管理の観点から仕組み作りを提案する文面です。

件名: 【重要】〇〇原材料の高騰に伴う価格調整ルールの策定につきまして

〇〇株式会社
〇〇様

いつもお世話になっております。
〇〇商事株式会社の丸山です。

現在、お取引させていただいております〇〇(製品名)の主原料であります[素材名]につきまして、連日の相場高騰により、現行価格の維持が極めて厳しい状況となっております。

弊社といたしましては、今後も品質を維持し、安定した納期でお届けし続ける責務がございます。
つきましては、予測不能な相場変動に柔軟に対応するため、市場連動型の価格スライド制を導入させていただきたく存じます。

都度の値上げ交渉ではなく、明確な指標(例:[指標名])に基づいたルールを設けることで、双方にとって公平かつ事務負担の少ない運用を目指したいと考えております。

不躾なお願いで誠に恐縮ではございますが、安定供給継続のための苦渋の決断であることをご理解いただければ幸いです。
まずは現状のコスト分析資料をお送りしますので、一度お打ち合わせのお時間をいただけますでしょうか。

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署名
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パターン③:仕組みの詳細説明(別紙送付)をセットで提案する場合

具体的な計算式や条件を別紙にまとめ、より実務的な合意を目指す際の文面です。

件名: 原材料価格変動に伴う取引単価調整運用(案)のご送付

〇〇株式会社
〇〇様

いつもお世話になっております。
〇〇商事株式会社の丸山です。

先日お電話にてお話しいたしました、原材料価格のスライド制運用につきまして、具体的な運用案をまとめましたので、資料を添付にて送付いたします。

■添付資料の内容

  1. 取引単価調整ルールの概要
  2. 採用する公的指標および算出式
  3. 適用開始時期と更新サイクルについて

この仕組みを導入することで、原材料相場が安定している時期はもとより、急変時にも迅速かつ客観的に価格を決定することが可能となります。
貴社内の稟議におかれましても、客観的指標による説明が可能となるため、合理的な進め方かと存じます。

内容をご確認いただき、修正のご要望やご不明な点がございましたら、何なりとお申し付けください。
円滑なお取引の継続に向け、前向きな協議をお願いできれば幸いです。

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署名
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まとめ

原材料費スライド制の導入は、製造現場の安定とクライアントとの信頼関係を両立させるための「攻めの守り」です。

・一方的な値上げではなく「公平な仕組み」であることを強調する ・客観的な「公的指標」を用いて、透明性の高い計算式を提示する ・「交渉コストの削減」など、相手側のメリットも併せて伝える

市場環境が激変する今、仕組みに基づいた合理的な交渉を行うことは、プロフェッショナルなパートナーとして欠かせない姿勢です。誠実な提案を通じて、持続可能な取引関係を築いていきましょう。

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