「インボイス制度が始まった途端、取引先から値引きの相談が来て困っている」「免税事業者であることを理由に、消費税分をまるごと引いてほしいと言われた……」 制度の開始に伴い、こうした価格交渉に悩む方は非常に増えています。特に長年お付き合いのある取引先からの打診は、お断りするのにも勇気がいりますよね。
しかし、取引先の言いなりになってしまえば、あなたの事業の継続が危うくなるかもしれません。大切なのは、制度の仕組みを正しく理解した上で、冷静かつ誠実に「自社のスタンス」を伝えることです。
この記事では、インボイス制度を理由とした値引き交渉に対し、信頼関係を維持しながら回答するためのポイントと例文を解説します。
インボイス制度に伴う価格交渉で知っておくべき基本マナー
価格交渉のメールを書く前に、まずは最低限押さえておきたいルールを確認しましょう。
一方的な値下げ要求は独占禁止法に触れる可能性がある
取引先が、免税事業者であることを理由に、一方的に消費税分を全額値引きするよう強制することは、独占禁止法や下請法において問題となる可能性があります。交渉の場では、あくまで「協議」が必要であることを念頭に置き、過度にへりくだる必要はありません。
経過措置(80%控除)を前提とした交渉の進め方
インボイス制度には、免税事業者からの仕入れであっても、一定期間は仕入税額の80%を控除できる「経過措置」があります。つまり、取引先が被る税負担の実質的な増加分は、当初の3年間は「消費税額の2%分」に留まります。10%全額の値引きを求められた際は、この経過措置を根拠に話し合うのが論理的です。
返信は検討の時間を置くことで誠実さを伝える
値引きの打診に対し、感情的に即座に断るのは避けましょう。 「社内で慎重に検討いたしました結果」というプロセスを挟むことで、相手の要望を一度真摯に受け止めたという姿勢が伝わり、その後の回答に説得力が生まれます。
【コピーOK】インボイス値引き交渉への回答メール例文
状況に合わせて、そのままコピーして調整できる3つの回答パターンを用意しました。
パターン①:【お断り】現行価格の正当性を伝え、値引きを辞退する
コスト高などを理由に、価格維持をお願いしたい場合の構成です。
パターン②:【歩み寄り】経過措置を考慮した「2%程度」の調整案
全額は引けないが、相手の税負担増を考慮して一部歩み寄る構成です。
パターン③:【条件提示】価格維持の代わりに別の付加価値を提示する
価格は下げられないが、別のサービスや条件で納得してもらう構成です。
まとめ
インボイス制度による値引き交渉への回答は、一方的に受ける必要はありません。
- 制度の「経過措置(80%控除)」を正しく理解し、論理的に回答する。
- コスト増や品質維持の必要性を伝え、感情論ではなく事実で説明する。
- 値引きが難しい場合は、スピードアップやサービス追加など代替案を提示する。
誠実かつ毅然とした対応を心がけることで、取引先との対等なパートナーシップを維持し、あなたのビジネスを守ることにつながります。


