自分の資産を増やすには、ごつごつで貯金することもそうですが、株式投資も重要な方法だと思います。新米株式投資家として、まず証券用語を勉強しましょう。今回は基本中の基本の証券用語をまとめました。
株式投資のための基本的な指標
PER: Price Earnings Ratio 「株価収益率」
株価が1株当たり純利益(EPS:Earnings Per Share)の何倍まで買われているか、すなわち1株当たり純利益の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度。
現在の株価が企業の利益水準に対して割高か割安かを判断する目安として利用されます。PERの数値は、低いほうが株価は割安と判断されます。なお、1株当たり純利益は当期の予想数値を用いるのが一般的。
EPS: Earnings Per Share 「1株当たり当期純利益」
一株に対して最終的な当期利益(当期純利益)がいくらあるかを表す。
当期利益を発行株式数で割ったもの。
PBR: Price Book-value Ratio 「株価純資産倍率」
株価が1株当たり純資産(BPS: Book-value Per Share)の何倍まで買われているか、すなわち1株当たり純資産の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度。
現在の株価が企業の資産価値(解散価値)に対して割高か割安かを判断する目安として利用されます。PBRの数値は、低いほうが割安と判断されます。なお、PBR=1倍が株価の底値のひとつの目安(株価と資産価値が同じ)とされてきましたが、近年は長い間1倍を下回ったままの銘柄も多くなり、必ずしもPBRの1倍割れだけを底値の判断基準とすることはできなくなっています。
例:三菱商事 PBR 0.8倍、三井物産 PBR 1.0倍 豊田通商 PBR 0.9倍
BPS: Book-value Per Share 「1株当たり純資産」
企業の安定性を見る指標。
計算式は純資産÷発行済み株式数。
BPSが高ければ高いほど、その企業の安定性は高いことになる。
比較するための基本指標
ROE: Return On Equity 「自己資本利益率」
自己資本利益率のことをいいます。これは、株主が拠出した自己資本を用いて企業がどれだけの利益をあげたか、つまり株主としての投資効率を測る指標といえます。
ROEは、情報開示資料である有価証券報告書等では「自己資本利益率」、決算短信では「自己資本当期純利益率」と表記されています。「自己資本利益率」では期末自己資本、「自己資本当期純利益率」では期首と期末の自己資本の平均値で算出されています。なお、ROEは、財務分析をするうえでは、以下のように「売上高純利益率」と「総資本(資産)回転率」、「財務レバレッジ」に分解することで、その要因分析をすることができます。
ROE(%) = 当期純利益÷自己資本×100
自己資本 = 純資産 – 新株予約権 – 少数株主持分
ROE = 売上高純利益率 × 総資本(資産)回転率 × 財務レバレッジ
ROA: Return On Assets 「総資本利益率」
総資本利益率(総資産利益率)のことをいいます。企業全体の経営効率を測る指標のひとつで、資本の利用によって、どれだけの利益をあげることができたかを示します。
ROAは、財務分析をするうえでは、以下のように「売上高純利益率」と「総資本(資産)回転率」に分解することで、その要因分析をすることができます。
ROA(%)=当期(純)利益÷総資本(資産)×100
ROA = 売上高純利益率 × 総資本(資産)回転率
ROIC: Return On Invested Capital 「投下資本利益率」
企業と債権者(銀行など)から調達したお金に対して、どれだけ効率的に利益をあげることができたかを測定する財務指標
一般的な計算式は
ROIC=税引後営業利益÷投下資本(投下資本 = 有利子負債+株主資本)
企業は、株主から預かった株主資本(自己資本)と銀行などから借り入れた他人資本を投下して事業を行う。株主資本に対する当期純利益の割合を示すROE(自己資本利益率)に対して、投下資本利益率は、他人資本である有利子負債も含む実質的な投下資本からどれだけ効率的に利益を稼いだかを測るための指標である。
ROICは投下資本に対して「どれだけ効率的に税引後営業利益を獲得しているか」を測る指標です。「ROE」と「ROA」と似た指標ですが、本業である営業利益に着目している点が、「当期純利益」に焦点を当てているROEとROAとは異なります。またROICはROAやROEとは違い、分母が操作できない点がメリットです。ある意味「雑音」を除外して、成長のトレンドを見いだすのにROICは有効な指標なのです。
PSR: Price Sales Ratio 「株価売上倍率」
時価総額を年間売上で割って、算出されます。
新興企業同士の株価水準を判断する場合に使用されることなどがあり、PSRが低いほど、株価が割安と判断することができます。
EBITDA (イービットディーエー)
EBITDAとはEarnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略で、税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益を指します。
国によって金利水準、税率、減価償却方法などが違うため、国際的企業の収益力は一概に比較することはできません。その点、EBITDAはその違いを最小限に抑えて利益の額を表すことを目的としていますから、国際的な企業、あるいは設備投資が多く減価償却負担の高い企業などの収益力を比較・分析する際にしばしば用いられます。
EV/EBITDA倍率
EV(Enterprise Value:事業価値)がEBITDAの何倍とされているかを表わす指標であり、世界的な株価比較の尺度として広く使われている。
事業価値をEBITDAの何年分で賄えるかを表すものであり、簡易買収倍率とも呼ばれている。
M&Aの際に使用される倍率の目安は国や業種ごとに様々である。
EV/EBITDA倍率=
(株式時価総額+純有利子負債-非事業用資産+少数株主持分)/ (営業利益+減価償却費)
これについて対象企業に類似した企業の最大値、最小値、平均値をBloomberg等の情報端末を用いて取得し、それを対象企業のEBITDAに乗じて、当該企業を買収するのに必要な金額のレンジを求める。
対象企業の事業価値(EV)を、当該企業が営む事業と類似の事業を営む企業において平均的なEV/EBITDA倍率を用いて算定する価値の算定方法をEBITDA倍率法という。
ネットD純利益比率
ネットD純利益比率とは、当期純利益に対して何倍の純有利子負債を抱えているかを表す指標です。純有利子負債を返済するのにかかる、おおよその目安として見ることができます。
数字の目安ですが、たとえばバフェットが投資したどの優良企業も、すべての有利子負債を3~4年で返済できる純利益を毎年計上しています。
ネットD純利益比率 = 純有利子負債 ÷ 当期純利益
ネットD純利益比率は数値が低ければ低い方が、財務的により健全だといえます。
β(べーた)=個別証券のリターン÷市場全体のリターン
個別証券(あるいはポートフォリオ)の収益が証券市場全体の動きに対してどの程度敏感に反応して変動するかを示す数値で、現代ポートフォリオ理論でよく用いられる。
β=個別証券のリターン÷市場全体のリターン
配当関係
DOE: Dividend on equity ratio 「株主資本配当率」
企業が株主資本に対してどの程度の配当を支払っているかを示す指標。
配当水準を示す指標としては、当期純利益に対する配当額を表す配当性向が一般的ですが、当期純利益は変動幅が大きいため、株主還元の状況を示す指標として近年では株主資本を基準にしたDOEを採用する企業が増えています。
配当性向
会社が税引後の利益である当期純利益のうち、どれだけを配当金の支払いに向けたかを示す指標。配当性向は、1株当たり配当額を1株当たり当期純利益で除して求められます。
会社が1年間で儲けたお金からどれだけ配当金として株主に還元しているかは、配当性向を見ることでわかります。
配当金額から企業を評価する指標としては、配当性向の他に、配当利回りなどがあります。
配当利回り
配当利回りとは、購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けることができるかを示す数値。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100